外傷や疾病によって変形・欠損した人体を復元する、形成外科という分野があります。医院によっては整形外科に含まれているところもありますが、要するに「人の身体を本来あるべき形に復元する」ことを目的としたものです。ここに審美的要素を大きく盛り込み、さらには「理想美」に近づけようとして立ち上がったのが、美容外科に他なりません。
つまりは修復のついでに理想美に近づけてしまおうという発想であったわけですが、そこから敷衍して、元々健康体ではあるものの、経常的にもうひとつ理想美のランクに近づけたいというユーザーの希望に沿って「改良」を行うという治療。それが美容外科の医療行為に他なりません。本来疾病ではない部分を改変するわけですから一般の医療とは根本スタンスを異にします。最初にそのルーツを古代美容術に求めた所以でもあります。
そうした治療を医学の技術力と責任において行うわけですから、当然ながらそこには高い技術力と医学的モラルと、何よりバランスのとれた美的感覚、美的センスが要求されるわけです。そうした意味において、現代日本で美容外科に携わるドクターたちの資質は、外科医としてのそれとともに、芸術家としての資質も求められていることになるわけですが、こうした高度な要求に易々と応える力量を持ったドクターが巷にあふれているという状況もまた驚くべき現実です。
美容外科に携わる日本のドクターがいかに優秀か。その一端を示すのが、彼らが修得している医療分野の多角性です。本職の形成外科に加えて、多くのドクターは歯科・内科・婦人科・眼科・耳鼻科・神経外科・皮膚科などのうちどれか複数、場合によってはこれらのすべてを修得しているという、まさにオールラウンドなドクターが本当に多いのです。それというのも、現代の美容外科そのものが、実際オールラウンドな医療分野に深化しつつあるということによっているのです。
便宜上、現在の美容外科は「美容外科」「美容整形」「整形美容」などなど呼び方は様々ですが、要するに美容を司る外科医療であるという世間の認識の上に立っています。しかしながらその内実は日々変化発展しつつあり、すでに「総合医療」としてのフィールドを形成しつつあるというのが現実なのです。これはそう遠くない将来のことになるでしょうが、おそらく現在の「美容外科」という名称は改められる時が近づいています。